千葉歴史学会

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2012-04

千葉歴史学会第31回総会・大会のお知らせ

日時 平成24年5月20日(日) 午前9時30分より
場所 千葉大学大学院人文社会科学研究科棟1階
   マルチメディア講義室
   (千葉市稲毛区弥生町1-33千葉大学内)
   構内図はこちらをご覧ください。
交通:JR総武線西千葉駅下車徒歩約10分
京成千葉線みどり台駅下車徒歩約5分

日程
総 会 9:40~
研究報告 10:30~
1『松平家忠日記』にみる下総国の水陸交通
 石渡洋平氏(駒澤大学禅文化歴史博物館)
2地域社会における虚無僧への対応について
 ―下総国佐倉藩領を中心に―
 長谷川佳澄氏(佐倉市立志津公民館)
3主基村産業組合と農村経済更生運動
 ―1920年代から1930年代を中心に―
 金子美佐子氏(総合研究大学院大学文化科学研究科)
≪昼食・休憩≫(12:30~13:30)
シンポジウム 13:30~16:30
テーマ「千葉から通史を考える」
基調講演
講演者 川尻 秋生氏(早稲田大学教授)
 演題「地域史からみた通史 ―房総の歴史から日本史へ―」
コメンテーター
 森脇孝広氏(千葉県文書館)
 崎山直樹氏(千葉大学大学院人社会科学研究科地域研究センター)
 和田健氏 (千葉大学国際教育センター)
 加藤公明氏(千葉県歴史教育者協議会)
全体討論
懇親会 17:30~ (場所:当日連絡)

≪中世≫
『松平家忠日記』にみる下総国の水陸交通
石渡洋平氏
 本報告は、『松平家忠日記』の記事をもとに、中・近世移行期における下総国の水陸交通を検討しようとするものである。
 『松平家忠日記』は、徳川家康に仕えた松平家忠(1555~1600・松平氏の一族である三河国深溝松平家出身) が記した日記であり、天正5年(1577)から文禄3年(1594)までが現存している。現在、原本は7冊から成り、駒澤大学図書館所蔵である。
 松平家忠は、三河国深溝を本拠にしていたが、徳川家康の関東転封に伴い、天正18年(1590)に武蔵国忍、ついで天正20年(文禄元年・1592)に下総国上代へ移った。本報告が検討対象とするのは、下総国上代を本拠にしていた時期である。
 当該期、松平家忠は江戸城普請を課され、しばしば上代―江戸間を往復する。本報告では、まずこの家忠自身の移動ルート・移動手段について検討したい。
 ついで、江戸城普請にもかかわることであるが、江戸での諸経費や飯米のために送られたと考えられている江戸への「兵粮米」輸送ルートについて検討する。「兵粮米」を積んだ舟の輸送ルートは、盛本昌広氏(『松平家忠日記』、角川書店、1999年)によれば、上代―小見川で津出し―現利根川―関宿―古利根川―東京湾(江戸湾)―江戸ルートおよび上代―椿海―房総沖太平洋海運―江戸ルートという2つのルートがあるという。本報告では、盛本説に学びながら、「兵粮舟」に関わる諸問題に言及し、『松平家忠日記』における「兵糧米」輸送ルートという課題に対して、問題提起を行いたい。
 以上、本報告では家忠自身の上代―江戸間移動ルートと「兵粮米」輸送ルートという大きく2点の問題に取り組み、当該期の下総国の水陸交通の一端を明らかにしたい。



≪近世≫
地域社会における虚無僧への対応について
―下総国佐倉藩領を中心に―
長谷川佳澄氏
近世、村々には住民以外の様々な宗教者、浪人、芸能民が訪れていたが、やがて数が増大し、村々は彼らに関わる出費や乱暴行為に苦慮していた。こういった来訪者はいわば当時の社会問題であり、単独の村による対策だけではなく、村々の結合体である組合が議定の中で対応を定めるような事例も散見している。さらに、藩や幕府といった公儀権力による取締りも行われており、身分的周縁論や郡中議定等の研究においても注目されてきた。
そこで本報告では、来訪者のうち特に虚無僧に着目し、どの主体がどのように虚無僧に対応したのかを分析することで、当時の地域社会の有していた性質の一端を明らかする。虚無僧は、ほぼ全国的に活動を確認することができ、時に村々において金銭を要求し乱暴を働くことが多かった。それを背景として、虚無僧の組織である虚無僧寺は村々と契約結び、「留場」ないし「取締場」と呼ばれる縄張りを形成していた。「留場」や「取締場」は一定金額を納める代わりに虚無僧の立入や修行を禁じる区域のことであり、18世紀半ば以降全国各地で確認することができる。
具体的には、下総国佐倉藩領周辺の事例について分析を行う。佐倉藩は房総半島最大の石高を有する有力譜代藩であり、当藩領には「五郷組合」と呼ばれる組合村が存在したほか、文政年間以降は御改革組合村(寄場組合)も設置された。この地域で、村々、藩、幕府のそれぞれの意向が実際虚無僧への対応にどの程度影響を与え、どのような形で反映されたのか、考察していきたい。

≪近現代≫
主基村産業組合と農村経済更生運動
―1920年代から1930年代を中心に―
金子美佐子氏
これまでの農村経済更生運動研究の中で産業組合は、農村における日本ファシズムの社会的基盤としての役割が注目され、その文脈の中で研究されてきた。「中堅人物」と呼ばれる中心人物(主に町村長、議員、小学校長、区長、農会長)の活動、産業組合や青年団・処女会などの組織の担った運動が分析対象となり、それらが国家の方針にどのように包摂されていったのか、その組織化の過程を分析する研究が中心であった。産業組合を担った人々は近世から続く村の指導層であり、1920年代から続いていた農村不況を克服するため様々な努力や試みを続けていた人々であった。彼らは脅迫と暴力を振りかざす悪質なファシストではなく、村人の経済的困窮を救おうとした「善意の人々」であったと言える。しかし彼らは日本が戦争に突入した1937年以降、戦争を賛美し、戦時体制を強力に推し進めた現場責任者であった。
今回の報告では、農村改革者としてのどのような取組みを行い、近代化の恩恵から取り残された農村の経済的困窮をどのように克服しようとしたのか。そして彼らの試みは現実に貧困化を解決することができたのか。これらを当時の史料を使って細かく検証し、貧困克服運動の問題点を明らかにする。分析の対象は千葉県安房郡主基村の産業組合。1929年以降の昭和恐慌に対して、農村経済更生計画を立て、財政危機を克服するため様々な取り組みを行った。このような取り組みの結果、工業生産を中心とした日本経済の回復に同調する形で経済危機から脱することができ、内務大臣である後藤文夫から、山武郡源村に続いて「日本一の模範村」として千葉県で2番目の表彰を受けた。


シンポジウム「千葉から通史を考える」について
1982年、千葉歴史学会は「千葉県下に居住し、あるいは職場をもっている歴史研究者、歴史教育者がたがいに交流し、研究を深めあう機会をもちたいという機運が盛りあが」る中で発足した。そして会員の地道な研究活動に支えられ、今年創立30周年を迎えた。今大会はこれを記念し、本学会が歴史学、考古学、民俗学、歴史教育学の研究者、教育者らで成り立っている団体であることをふまえ、通史をテーマに、シンポジウムを開催することを企画した。
 通史とは、全時代・全地域・全分野を、時間軸に沿い、総合的に歴史を叙述する方法である。そして通史とその枠組みを考えることは、歴史をどのように認識し、把握しているのかを問うことであり、歴史研究においては常に意識すべき課題である。
 一般に最も普及している通史叙述といえば歴史教科書であろう。歴史認識と密接に結びつく歴史教科書の記述・内容をめぐる問題は、形を変えながら依然として続いている。ただし、若い世代が歴史を学び、考えるための様々な歴史教育の実践が現場で営まれているのもまた事実である。
 折しも本学会の拠点である千葉県では、千葉県史編さん事業が『千葉県史』全51巻として完結し、また国立歴史民俗博物館では総合展示のリニューアルを順次進めているところである。このような千葉県下の状況を鑑み、千葉歴史学会で、いま、通史を考えることは重要、かつ意義があると思い、テーマに選んだ。
 分野や世代を越えて活動してきた本学会の、創立30周年という節目において、通史を考えるという機会がより有意義になるよう、多くの方々の参加と発言をお願いしたい。

≪講演者紹介≫
川尻 秋生氏
1961年千葉県生まれ。早稲田大学文学部日本史学卒、同大学院文学研究科修士課程修了。千葉県立中央博物館を経て、現在は早稲田大学文学学術院教授。専攻は日本古代史。また千葉県史古代史部会に所属し、『千葉県の歴史』(古代編)の資料編および通史編の編さんにあたった。
著書に『平将門の乱』(吉川弘文館)・『揺れ動く貴族社会』(小学館)など。


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プロフィール

千葉歴史学会

Author:千葉歴史学会
本会は主として千葉圏域で歴史学の研究、歴史教育の現場や文化財の保存活動等にかかわる人々を中心に、1982年に設立されました。以来30年、会誌『千葉史学』の刊行、研究書の刊行、様々な部会活動、大会やシンポジウムの開催を中心に歴史研究の発展、その成果の普及、遺跡保存や史料保存など文化財保護の活動に努めて参りました。

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